ISDN:0-312-99722-1avenger
Pubisher:St Martin's Paperbacks
340 pages
評点(5点満点):4half_star



主な登場人物






カル・デクスターベトナム歴戦の軍隊あがりの弁護士。だが、彼は、彼の家族にふりかかったある事件を契機に、密かにマンハントを行う裏稼業を始めた。
スティーブ・エドモンドカナダの億万長者。彼の孫は、ボスニア・ヘルツェゴビナでボランティアとして救援活動を行なっていたが、ある日を境に行方不明となる。彼は、娘に頼まれて、人を雇って捜査を始めるが
ゾラン・ジリックセロバダン・ミロセビッチの傘下の私兵集団の指揮官。旧ユーゴで、彼は、ミロセビッチの保護の元、無法の限りを尽くしたが、ミロセビッチの没落の日を予見して逃亡の準備を始め、ミロセビッチの没落とともに、行方が分からなくなる
ポール・デボラックスCIAの副長官で、対テロセンターの長。巨悪を倒すためには手段を選ばないという主義
ケビン・マクブライドデボラックスの副官役。
ストーリーの前フリ
 ボスニア内戦たけなわの1993年。一人のアメリカ人青年が、ボスニアの山中で消息不明になる。青年は、その両親のたった一人の子供だった。母親に頼まれて、祖父の億万長者が、人を雇って、消息を突き止めるが、青年は、セルビアの私兵集団に虐殺されていたのだった。青年は、US市民でもあったので、億万長者は、コネをつかってUSの政府に働きかけるのだが、その私兵集団のボスは、セロバダン・ミロセビッチの没落を予見して、ミロセビッチの没落と共に、行方不明となっていた。もっとも新しいデータでも15ヶ月前という状態で、6つもあるUSの情報機関のいずれもが、お手上げ状態だった。そして、関係筋から、億万長者のもとにもたらされたの回答の末尾にあったのは、コードネームAvengerという理由と値段が折り合えば、海外に逃亡している悪人を捕まえるという、プライベートなマンハンターへのコンタクト手段だった。

コメント
 フォーサイスの2003年の作。私は、この本は、6年近く前に、USで買って、そのまま、積読になってたが、最近、思い起こして読んだ。フォーサイスのいつものパターンで、最初の方のエピソードは、どうつながっていくのか、なかなかわからないが、登場人物のキャラクターを与えるには必要なところなんだろう。あとの方は、要塞のような隠れ家に、たったひとりで、Zoran Zilicという悪党を捕まえに行く、というおおよそ不可能に思えることを進めていくのだが、この辺は、一気に読ませる力がある。

結論
 いいとおもう。この作品では、まだフォーサイスの筆力は、活きている。


Goof
作品中には、ラシード・ドスタムが、タジク系と書いてあるが、彼は、ウズベグ系だ。