ISBN 978-4-14-081584-7
出版社:NHK出版
定価:1400円
評点(5点満点):3star
コメント
 この本は、別に、NHKのドラマの原作ではない。NHKのドラマは、この本に着想を得て、脚本家が、いろいろ話をでっちあげたものなので。ちなみに、ドラマの方も、凡作だった。

 さて、この本は、現実のパナソニック、シャープ、ソニー、日産、トヨタの事例をあげて書いてあるのだが、いちおう、インサイダーであった私に、とっては、もの足らない。別に、書いてあることは、間違ったことが書いてあるわけではないのだが、日本の新聞記者のレベルでの取材、パブリックになっている情報をベースにしたレベルで、ものたらなさが沸き起こるばかりである。
  それでは、では、お前は、なにを求めているのか?って。
 たとえば、ウォルター・アイザックソンのSteve Jobsは、ジョブスや関係者に取材しまくった、新鮮味のある逸話にことかかないが、そういった、この本ならではの新鮮な素材は、非常に少ない。
 
 日本でも、パナソニック、シャープ、ソニーの現、旧社員にインタビューすれば、いくらでも、良い話は取れるはずなのに、そういうところが、さっぱりない。だから、訳本を作る価値もないし、世界で売るレベルの本ではないだろう。
 なぜ、ホンハイとシャープの提携交渉は、物別れになったか、なども、ちゃんと取材すれば、関係者が語る、異床異夢ともいうべき、どろどろした現実は明らかになるはずだが、そういうものもなくて、新聞解説記事レベルのさらっとした記述だ。
 ということで、ものたらない、物足らない、モノタラナイ。

結論
 関係者だった人は、あまり期待しないように。これが、日本の経済記者の レベルて、とこだろう。日本で、The Smartest Guys in the Room/Bethany McLeanのような本を書ける記者が出るのは、いつのことであろうか?