おおかたの事前の予想を裏切って、ドナルド・トランプが大統領選挙で勝った。
今回の選挙は、異例ずくめだったと思う。

  • 全米のほとんどの有力紙は、ヒラリー・クリントンをエンドースしていて、トランプをおしたのは、わずかな数の地方紙だけだった。
  • 共和党の主流派や、資金提供者は、大統領選は、あきらめて、議会選挙に注力しているくらいだった。
  • 理想的な大統領候補は、ファミリーマンというイメージであったが、2回離婚歴あるトランプはそうではなかった。
  • 影響力のある3度のTV討論会は、いずれも、ヒラリー・クリントンやや優勢という判定が多かった。
  • ポリティコのトランプの当選確率は、10月中旬で、13%くらいしかなかった。
  • 直前の世論調査では、まだ、わずかに、クリントンがリードだった。


得票数では、そんなに差があるわけではないが、伝統的に民主党が強いはずの五大湖周辺の州では、イリノイとミネソタしかとれなかった。(ミシガンは、超接戦で、まだ、結果が出てない)スイングステートでも選挙人数の多い、フロリダ、ペンシルバニア、オハイオなど重要州は、のきなみ、クリントンは、競り負けた。

 本来なら、トランプの姿勢から、有色人種や非キリスト教徒の票はもちろん、多くの女性票は、クリントンに行くはずなので、楽に勝てる選挙であった筈なのだが。2020年は、ヒラリー・クリントンの年齢からするとありそうもないので、民主党は、これから、次の候補を選ぶことになるのだろうが、サンダースも、同じく、年齢の問題でないだろうから、次は、ぐっと若い人になるのだろう。

 日本に及ぼす影響は、極めて大だろう。日米同盟は外交の基軸とマントラを唱えて、親米従米を続けてきた、事なかれの自民党外交(官僚外交)は、終わりになる。USをあてにするのではなく、自分の頭で国益を追求する事が必要になるから、自立が必要だ。沖縄の基地返還や、横田の空域問題も、進展するだろう。防衛費は、最低でも今の1.5倍程度には、しないといけないだろう。
 自由貿易に対する信任も後退するだろう。製造業には、よくない話だ。
 FRBのイエレン議長の再任はなくなって、利上げは、遠のく。金融は、緩和方向。円=ドルは、弱い円高方向だ。日本の経済には、短期的には、マイナス方向だと思う。最高裁判事は、保守系が選ばれるから、反発はあるだろう。

 2020年に、日米関係は、どうなっているのだろう。尖閣諸島も、あのままであるとは、とても、思えない。日本でも、自民党が潰れるか分裂する日が、来るのかもしれない。


PS
 実際の獲得票数は、2000年のアルバート・ゴアのごとく、ヒラリー・クリントンの方が、20万以上多くなるようである。だが、US大統領選は、州ごとの選挙で、選挙人総取り方式なので、クリントンは、選挙人の多い州を沢山落として負けた。2000年の場合は、ブッシュは、フロリダのおかげで、大統領になれたが、今回、クリントンは、ゴアの時より、沢山、重要州を落として負けた。
 それでも、クリントンの方が、得票総数で多いということは、CA,NY,OR,HI,WA,ILなどの民主党の金城湯池のとこでは、クリントンは、トランプに大差をつけているという事だ。そういうところでは、よって、かなり死票が出ている。
 2000、2016と得票数が多い候補が大統領になれない、というのは、真の民意を反映しているのか、という話はあるので、こういうことが何度も続くようだと、選挙制度の見直しという話も出てくるかもしれない。ただ、USの選挙制度は、日本と違って、州ごとの選挙人の割り当てなどは、4年毎に行われているので、信頼性はそれなりには、ある。日本では、来年5月の選挙区の区割り変更が答申される見込みなので、その新しい区割りでは、自民党内の調整が困難なので、その前に、解散、総選挙をやりたい、という主張がある。司法も、違憲状態を容認しているくらいだし。。。

違憲状態を認定しながら、無効判決を出さない、日本の司法は終わっている