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海外携帯電話

日本携帯電話メーカーの海外挑戦への壁

新聞報道によると、富士通と東芝が、携帯電話端末の事業統合を交渉中だそうである。

これは、今月正式発足となったNEC+日立カシオの統合につづく流れである。その背景事情は、国内市場が冷え込んでいるのに、国内市場だけしか商売出来ないメーカーばかりなので、やってけないからだ。

さて、そうやって、煙でいぶし出されるように、内弁慶なメーカーが海外挑戦を表明しているわけだが。

  • シャープ:国内トップのシャープは、USでもVodafoneでも失敗して、中国ででなおしで、シェア1%(!)を目指して、苦闘中。
  • パナソニック:本年あたり、中国で再参入を噂されるが。。。
  • NECカシオ:USで、Verizon Wirelessに2モデルだけ。まぁ、Verizon Wirelessと取引つづいてるだけましか。
  • 京セラ:京セラブランドは、北米で携帯ブランドとしては無価値なので、いまでも、Sanyoブランドで、Sprintやってるけど。
  • 東芝:かつては、もうすこしビジネスできたてのに、ここまで落ちるのは、相当、経営に問題が。
  • 富士通:台湾で、始める予定だったが、たいしたことない? 

と、SonyEricsson以外は、そろいもそろって、低迷の一言に尽きる。

多くの記事が、LTEの時代が来て、勝負できる舞台が。。。。。 という激しく既視感あふれる記事を書いているんだが、こういうことを書いている人たちは、この10年のことを、記憶喪失してるんだろうか?

10年前には、3G(W-CDMA)の時代が来て、世界で勝負できる舞台がそろった、と同じように書かれていたものだった。

この10年、日本の携帯電話メーカーは、こと海外携帯に関しては、SonyEricssonを除けば、無能としかいいようのない経営の連続だったのだ。
自らの過去の過ちの分析をせずには、正しい将来への処方は書けようはずもない。いま、問われているのは、1にも2にも、経営の問題、経営者の問題である。

SIMロック論議の見落としている点

すぐる4月2日に、総務省は、4オペレータ、MVNO代表、メーカー代表、消費者代表を呼んで、2007年のモバイルビジネス研究会以来の懸案であったSIMロックについてのヒアリングを行った。

その時の会議資料は、以下のURLから、ダウンロード可能である。

 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/simlock/27604.html


総務省によばれた者のなかでは、日本通信、イー・モバイル、東京都地域婦人団体連盟(消費者代表)は、SIMロック解除に賛成。KDDI,SBM,情報通信ネットワーク産業協会(メーカーの団体)は、反対。docomoは、条件つき容認の姿勢であったようだ。

SIMロックを解除しても、実際には、通信方式、周波数の違いで、ユーザーが行き来できるのは、docomoとSBMの間で、音声通信とSMSが使えるだけである。ウェブ、携帯メールなどは、そのままでは、問題が多い。(従来型国内携帯電話の場合)
あとは、頻繁に海外へ行く人の場合は、SIMロックなしだと、現地のオペレータのSIMが使えるメリットがある。

iPad/iPhoneの場合は、基本的にインターネットの標準テクノロジーをベースとしているので、こういうキャリアを変えることによっての不都合はない。ただ、こういった機械のSIMロックの有無は、従来型国内携帯電話の場合と大幅に状況が異なるので、ここでは、置いておく。

そもそも、モバイルビジネス研究会以来の議論の根底には、

  1. 国内携帯電話メーカーの海外市場における惨敗
  2. 携帯電話事業者が空前の利益をあげる一方でのメーカーの疲弊
  3. 業界の寡占構造の強化

などの認識があったと思う。
それで、分離プランの導入、MVNOの回線使用料の決め方、などが、決められた。 そして、積み残しとなったSIMロックの件である。

そもそも、国内メーカー(シャープ、NEC,Panasonic,東芝、キョーセラ、三菱電機、Denso)などが、海外で惨敗したのは、国内で、SIMロックがあるか、ないかとは、ほとんど関係ない。

SIMロックは、海外でもよくおこなわれているビジネス慣行で、それ自体は、日本だけの話ではない。(日本は、拘束期間すぎても、SIMロックを解除しないのは、ひどいですけどね。)

  日本のメーカーが、海外進出失敗したのは、

  1. 国内のケータイと海外のセルフォンが、同じであるというあやまった認識を持っていた。だから、国内でXXなので、海外でも、XXのはず、という伝で失敗を重ねる。
  2. 第3世代方式への移行時期を見誤った。ほとんどの国内メーカーは、第3世代の時代が来て、GSMはフェーズアウトするとして、過早にGSMを打ちきったが、これは、取り返しのつかない間違いだった。
  3. オペレータとの関係を構築することが下手だった。日本のオペレータは箸のあげさげまで、指示するが、海外オペレータはそうではない。
  4. ソフトウェアが下手で、ほとんどのところが、特定オペレータ依存だった。だから、ハードコーディングが多すぎて、どうしようもないし、数が出せないから、ますますジリ貧になる。

 


など。だから、こんなのは、国内携帯電話のSIMロックを、つけようがつけてまいが、全然、関係ない。ひとえに、メーカーの経営の問題。

そろいもそろって、韓国メーカーに対して、大差をつけられて負けているのだから、もちろん、私も日本人の一人として、愉快な話ではない。だが、SIMロック論議をいくらやっても、国内メーカーの海外進出ということに関していえば、的を外しているので、なにもうるところはないだろう。


 
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